MAR 15, 2019

INTERVIEW

「つくる場」をつくる。
学生主体で考えるイノベーション創発の仕組み

CREATIVE JUNCTION

INTRODUCTION

2018年4月から2019年3月までの1年間、実施されているACT(アクト)プロジェクト「CREATIVE JUNCTION」。多彩なCREATORが専門の垣根を越えて未来を創造する拠点としてACTをどのように活用していくのかを、主催するNTTファシリティーズの畠山文聡氏と総勢25名の学生がアイデアを出し、実現に向け動いています。

本記事では、畠山さんとゲスト講師のロフトワーク木下浩佑さん、そして学生の樋口晃大さん、茅野真子さんに「CREATIVE JUNCTION」が主催する「Design Factory」についてお伺いしました。

ものづくりを通して、イノベーションを起こす場へ

学生主体で場を考える新しいアプローチ「Design Factory」

畠山:近畿大学は、従来型の大学教育から離れて、新しい大学のあり方を体現していきたいと考え、2017年にACTを立ち上げました。学部ごとの縦割り教育ではなく、学生も教職員も横に串刺しにして、社会で起きている諸問題にオール近大で考えようという流れから生まれているんですね。

NTTファシリティーズ 畠山 文聡さん

畠山:ACTでは現在、年間30件に及ぶプロジェクトや年間150件に及ぶイベントが動いています。その中で僕が主催する「CREATIVE JUNCTION」は、ACT間の活動をつなぐことを目的に立ち上げました。着目したのが、世界的な潮流にもなっている、ものづくりを通してイノベーションを創発する動き。学生と共にそれを学びながら、「CREATIVE JUNCTION」の活動を通して、何かおもしろいものが生まれるのではと考えました。

木下:はじめて「CREATIVE JUNCTION」を訪れたとき、学生主体・文理融合で、イノベーションが起きる環境や空間のデザインを思考し実践していることに感銘を受けました。

ロフトワーク 木下 浩佑さん

学生自らが感じ、考えたことを場に反映させることが、イノベーティブな活動につながる

畠山 文聡

NTTファシリティーズ

畠山:クリエイションからイノベーションを生む取り組みは、世界中で実施されていますが、イノベーションになかなかつながっていないケースもあります。そこには2つ課題があり、1つは場が使いこなされていないこと、2つ目がオープンになっていないことです。ものづくりが好きなコアな人だけが集まる場になってしまうと、多様な人の出入りがなくなってしまう。だから、違うアプローチの仕方をしないといけないと考えました。

木下:そこで学生主体とした動きが出てきたんですね。

畠山:そう。学生自らどう感じて、ACTをどう使っていきたいかを考え、その「場」を学生主体で考えるのが「Design Factory」です。

イノベーションを起こすためのプロジェクト設計

木下:学生と交わる中で驚いたのは、デザインクリエイションと直接関係のない学生の受講が8割を超えていることです。経営学、国際関係学など多様な学部から25名もの学生が関心を持ってくれましたね。ロフトワークでは、「素材」をテーマにした施設「MTRL KYOTO」・デジタルものづくりカフェ「FabCafe Kyoto」を運営していますが、デザインやアートなど、クリエイティブに関わる学部以外の学生が来たことってほとんどなくて。だからすごい衝撃でした。

畠山:「Design Factory」では、考えるだけではなく、現地で起こっていることをリアルに体験してもらうことも大切にしています。ゲスト講師の講演やワークショップだけではなく、地場製造業のリブランディングで注目を集めた町への視察ツアーも実施して学生の見識を深めています。ロフトワークさんが運営するMTRL KYOTOにもお邪魔して、コラボレーションが生まれる仕掛けや、ヒト・モノ・コトが有機的につながるコミュニティづくりについて教えていただきました。

MTRL KYOTOで行われたワークショップ

木下:ACTをどう活用するかのプレゼンテーションも、めちゃくちゃおもしろかったですね。学生目線で考えると個人の趣向に寄ってしまったり、個別プロジェクトを実現するためにこういう機能が欲しいという話に向かったりしがちです。しかしどのチームも、コンセプトや場がどうあるべきか、コミュニケーションを起こす仕掛けを考えていました。普通ついつい近視眼的になりがちですが、プロジェクトの学生たちは、物事を複合的に捉え、目の前の事象の先にある構造や課題を意識していましたね。

畠山:木下さんがおっしゃったように、物事を俯瞰して見ることは社会人でも難しい。講義やワークショップで学んだことを全て取り入れて、アウトプットできたと思います。

木下:近大の学生は、物事に対する解像度がとても高いですね。アグレッシブに物事に取り組みますし、勘の良さもある。オープンマインドで僕の意見も受け入れてくれますし、クリエイティブなことへの興味関心も深い印象です。

畠山:単位にならない「Design Factory」を受講するくらいですから、集まっている学生のモチベーションが高いですよね。おそらく、近大自体が新しい大学のあり方をめざすというメッセージを打ち出しているから、枠組みにとらわれることなくチャレンジする学生が、増えてきているのかなと思います。

木下:「Design Factory」は2019年3月で一旦終了しますが、その後の構想はありますか?

畠山:参加してくれた学生が各学部に戻って、インフルエンサーのように「Design Factory」で身につけた思考や知識を広めることで、ACTを訪れる人が増えるといいですね。文理の垣根を超えて、社会諸問題を解決に導くプロジェクトが生まれることを期待してます。

未知との出会いが、未知の可能性を切り開く

ここには、授業やサークルにはない魅力がある

左:国際学部2回生 茅野 真子さん、右:経営学部2回生 樋口 晃大さん

樋口:僕が「Design Factory」を受講したのは、ものづくりに興味があって、実践の場がACTに生まれるかもしれない可能性に惹かれたからです。実用新案権の取得をめざすものづくりサークルに所属しているので、新製品を開発するときACTでプロトタイプを作れたら助かると思って。

茅野:私は空間デザインに興味があったから受講しました。近大のメールで「Design Factory」募集のお知らせを見て、自分のやりたいこととマッチしているなって。もともとこうしたイベントや課外活動には積極的ではないタイプですが、すごくおもしろそうだったので初参加を決めました。

「Design Factory」で得られる一番の報酬は、経験です。

樋口 晃大

経営学部2回生

樋口:Design Factory」を受講しても、単位にはなりません。でもそれを気にすることないほど、楽しいです。ここでの経験が、一番の報酬です。僕は経営学部ですが、「Design Factory」にはさまざまな学部の学生がいます。ディスカッションを通して、一つのものをブラッシュアップしていくプロセスがおもしろいですね。

茅野:ものづくりやデザインについてなんの知識もないまま参加しましたが、参加している学生それぞれ、私の知らないことを知っていて、教えてもらえることが楽しいです。社会ってこうやって得意なことを活かしあってできているんだなと思えて、視野が広がった気がします。

多様な人とのつながりが新たなきっかけを生む

樋口:「Design Factory」はものづくりを通して、ACT内のさまざまな活動をつなぐことを目的にしています。だから僕は、ACTで近大万博を開催したいです。自分の所属する学部以外どのようなことを学んでいるのか、全然知らないのはもったいないなと。たまに他学部の友達から話を聞くとすごくおもしろそうで、水産学部の友達が研究する魚の配合の話や、経営学部の産学官連携の話をもっと聞きたいなと思うんです。だからそれぞれの学びや研究を見せ合う機会をつくったら楽しんじゃないかな。ACTは文理横断のスペースなので、ぜひ実現したいですね。

学部やアルバイトでは出会えない、多様な人とつながりたい。

茅野 真子

国際学部2回生

茅野:私はものづくりをしたいという気持ちよりも、学部やアルバイトでは出会えない多様な人とつながりたい気持ちが大きいです。今までは興味ある国際関係のことしか取り組んでこなかったので、ACTを訪れる多様な人と交流する中で、新たな興味を見つけたり趣味をつくったりしたいです。

 

ACTには日々、多様な人が行き交い、数々のプロジェクトが生まれています。その中で、点と点になっているヒト・モノ・コトを結びつけ、ものづくりを通してイノベーションを創発する有機的な場をつくる試みが、今回ご紹介した「CREATIVE JUNCTION」が主催する「Design Factory」です。

近大にはまだまだ魅力的な資源が眠っています。イノベーションを生む現場に、あなたもぜひ来ませんか?

EDITING TEAM

  • Writer

    北川 由依

  • Photographer

    北村 渉