JAN 06, 2020

INTERVIEW

クリエイティブのこれから

INTRODUCTION

2019年10月から12月にかけ、アカデミックシアターではクリエイティブ映像講座が始まった。各回の講座にその分野のプロフェッショナルによってレクチャーして頂く、クリエイターを目指す学生にとっては贅沢な講座である。今記事ではこの講座での要点をピックアップし、最後にはマリモレコーズの江夏さんに取材をさせて頂いた。

皆がクリエイターへ

デジタルシネマ

 フィルムで制作していた映像をデジタルで再現すること。パソコンの処理能力の向上によりパソコン一つでガンガン編集ができる時代になった。結果をすぐに参照し、映像編集をすぐにできる環境が当たり前になる時代である。

企画

何を今から自分たちは撮影をするのか

1.テーマ(社名、商品、キャンペーン) 

2.メッセージ(What to say) 

3.表現(How to say) のフレームを用いて企画しよう。

演出

演出とは企画をどうやって映像として魅力のあるものに具現化していくか。映像コンテは撮影、仕上げを行うための設計図でありカット割り、尺、サイズ、音楽、セリフ、テロップなど様々な要素を考え、完成をイメージしながら具体化していく。

撮影

カメラは絞りとシャッター速度の関係で適正な露出が決まる。レンズの距離は同じ位置からズームを変えて取ったり、位置を変えて一定のサイズで撮ったりする。アングルもハイからロウまで状況に合わせたアングルを選ぶ。他にも照明や録音の注意が必要。カットの繋ぎを考えながら撮影へ。

編集

撮影素材の組み合わせによってショットの性質を補強変化させる

1.わかりやすく伝えること

2.初見の人に配慮した尺割を

3.サムネイルになるような印象的カットは長くても良い。これらを意識して編集する。

伝えたいことは何もない。

この講座を経て伝えたかったことは。

 この講座を受けて皆伝えたいことは実はなくて、俺もやってるから皆もしようぜってこと。授業ではない。ものを教えるというよりは皆にきっかけをばら撒くということ。あんまり学生とプロとか関係なくてクリエイティブはみんなのものだから。

 例えば音楽業界で活躍している人はみんな2.30代かと言えばそうじゃなくてビリー・アイリッシュはたった17歳で世界が認めている。もう若いからできないという時代ではなくて、クリエイティブを操ることさえできれば、年齢とか出身とか関係ない。

 やった人が評価される時代になった。昔はそうではなくて、やった人は評価されなかった。それを評価してもらう術がなかったから、作ったとしても見せる人は家族しかいなかった。撮った画を編集する機械もなければ発表する場もなかった。けど、今は撮ったらその場で編集して、Youtubeにあげれば世界中の人にそれを見せることができる。

クリエイティブは愛と楽しむこと。

江夏由洋

マリモレコーズ

映像を作る上で江夏さん大事にしていることはありますか。

 楽しくやること。自分が楽しんでいないとクリエイティブは成立しない。エンターテインメントを作るっていうことは人の心を動かすために作っている。その作り手が前のめりでないと、良いものは絶対に作れない。もちろん嫌なことも、つまらないこともたくさんがある。スキップしたいこともある、けれど今が総じてすごい楽しい

人を動かすツールとして映像をやろうと思ったきっかけは学生の頃からですか。

 出会いだよ。たまたま映像だった。もしかしたら料理人だったかもしれないし。銀行員だったかもしれない。それは縁だから。やりたいことができるとは限らないし、行きたい就職先にいけるとも限らない。僕が君たちの年代の時はジャーナリストになりたかった。そこでたまたま放送局に受かったけど、配属先が報道じゃなくてたまたまスポーツになった、俺は報道をやりたかったのに何でなんだろうと初めは思った。そこで映像に出会ってすごく感動した。やりたいってことが成熟したわけではなくて、やりたいと思うものが常にあったけれど結果として今ここにある。

講義での知識はどのように学んだのでしょうか?

 今回、僕がやってきた授業の本は一冊もない。自分が体験してきて、知った方が良いことや見たことがいいだろうなと思ったことを分かりやすいように、分解して繋げて教えている。

しかもこういう講義ってすぐ変わる。技術が進歩して日々考えも変わる中で、学ぼうと思って学ぼうと思っているものはない。やる上で必要だから学んだ。けどそれが点になって、点が線になって、線が面になって、面が形を作る風になっていく。

これからの学生に向けて。

 僕と君たちとは世代はもう違う。けど僕が偉いとか凄いとかは全くない。この前、AdobeMAXというイベントで村上隆が同じような質問をされてこう言った。

「君たちが怖くてしょうがない。若い人がたくさん出てくることで俺の仕事がなくなってくる。俺はあと20年この仕事を続けたい。だからクリエイティブをやめてくれ。」

 クリエイティブは経験と技術よりもやった者勝ちなところがある。もしそれがマネタイズできたら仕事になるし、できなくても趣味にもなる。別に趣味でもいいじゃん。好きだったら仕事にすればいいと思う。けど仕事にすると期限とかお金の管理とか嫌なこともたくさんある。さっきも言ったけれどこれからの学生に向けて、一言はない。やれる人がやれるものだから、そのフィールドに入ってくる若者にたいしては、一緒にやろうぜ盛り上げてこうぜと言う。特に日本はこれからクリエイティブが評価される時代だから。

作り続けるだけの環境をもちたい、死ぬまで。

江夏由洋

マリモレコーズ

 もし歳に関係することだとすれば20代30代は金や名誉が大事だったりする。どれだけお金を稼いだり、どれだけ有名になって世界を変えようと自分を過大評価するのが2.30代だと思う。

 けれど作っている人が皆、スピルバーグになれるわけではない。たまたまあの人がそうなっただけであって。イラストレーターの皆が村上隆になれるわけでもない。クリエイターの皆が日々悩んで戦っている。もちろん彼らも苦悩を抱えていて生きている。その中で僕のモチベーションはもう金とか名誉ではない。別にそこまで有名ではなくても、大金持ちになれなくてもいい。今が本当に楽しいし、現場でどれだけやれるかが大事だと思う。

 もし歳の違いがあるとしたら、そいうものかもしれない。偉くなる事や凄くなりたい気持ちは自分をドライブするものだから大事だけど、今の僕は楽しくこれを続けたい。どれだけ笑っていられるか、どれだけ面白いと感じられる時間が長くいられるか。ラッキーなことに僕はそれができるとこにいる。

講座を終えて

 僕は去年もこのプロジェクトに参加し、人と何か制作することの楽しさを学びました。そしてこんなにかっこいい大人たちがいるんだ、と目をキラキラさせながら講座を受けてました。映像のことは全く詳しくなかったですが、何か心をワクワクさせてくれるものがそこにはありました。去年はただ先輩の企画について行くだけでしたが、今年はやりたかったプランナーの役割もでき、嬉しかったです。

 あれから一年が経ち、もう一度受けてもこの感情は何ら変わりません。来年もあれば受けると思います。最前線で活躍しているクリエイターは鮮度の高い知識と経験から生まれたこの講座は、学びだけじゃなくて沢山の刺激を与えてくれます。また一歩、彼らのフィールドに入って僕は今を楽しみます。

 

EDITING TEAM

  • Writer

    川添 陸

    ゼロテン編集室

  • Photographer

    長島優輝

    ゼロテン編集室